なぜ理工系に女子が少ないのか
理工系に進む女子の現状
OECD生徒の学習到達度調査PISA2022によると、日本は数学・科学で1位と世界トップレベルであり、その前の2018年の男女別のデータからも女子は男子同様に世界トップレベルであることが分かっています。
一方で、大学進学した女子の理工系進学率は、25年間変わらず10%*を推移しています。そのため、理工系の中での女子の割合も、OECD38か国の中で最下位です。
日本のジェンダーギャップが解消された場合のGDP増加率は15-20%**。
世界トップレベルの日本の女子が、理工系を選んでいないという状況は、日本経済にとって大きな機会損失だと、AWESOMEは考えています。
*: 参照:平成10年~令和4度学校基本調査より
**: 第3回「女性と経済」に関する勉強会「女性活躍とマクロ経済」
①日本は男女ともに数学・科学リテラシーが世界トップレベル
OECDの「生徒の学習到達度調査(PISA 2022)」によると、日本は数学・科学リテラシーでともに1位を獲得しています(平均点:数学536点、科学547点、OECD37か国中で1位)。2018年の男女別データでも、女子の成績が男子と同様に世界トップレベルであることが示されています。また、複数の高校の先生方からも、女子の理系選択が増えてきているとの声を聞いており、これは非常に良い傾向です。
参照:
- ⽂部科学省・国⽴教育政策研究所 「OECD生徒の学習到達度調査 PISA2022のポイント」
- 2018 OECD Mathematics Performance, Science Performance
②大学進学した女子の理工系進学率は10%
しかし、大学進学時に女子が理工系(理・工・農学部)を選択する割合は、25年前から約10%とほとんど変わっていません。
学校関係者へのヒアリングでは、理工系キャリアの具体的なイメージが限定的であるため、理系の生徒への進路選択の判断材料が不足していること、進路指導を行う教員自身も十分な情報を持っていないことが明らかになりました。
参照:平成10年~令和4度学校基本調査
③理工系分野における女性の割合はOECD最下位
世界トップレベルの学力がある一方で、大学進学した女子のうち理工系に進む割合が10%にとどまる現状は、国際的に見ても課題です。「自然科学・数学・統計学」分野における日本の女性割合はOECD平均の半分である27%、また「工学・製造・建築」分野では16%と、いずれもOECD最下位です。これだけの能力を持ちながら理工系を選ばない現状は、日本経済にとって大きな機会損失だと考えられます。
④女子が理工系に進まない背景
女子が理工系に進まない背景には、本人だけでなく、周りの大人たちによる無意識のバイアスやジェンダーバイアス、さらには環境などの外的要因が大きく影響しています。東京大学の横山広美教授の著書『なぜ理系に女性が少ないのか』や、学校現場でのヒアリングを通じて、私たちは左図に示した5つの要因が特に大きな影響を及ぼしていると考えています。
これらの要因に丁寧に向き合い、一つずつ解決することで、女子の理工系進出に加えて、彼女たちのこの分野での活躍が促進されるのではないでしょうか。
一般社団法人AWESOMEでは、等身大の理系女性たちをロールモデルとして「見せる」ことに重点を置き、理工系学部を卒業し、さまざまな分野で活躍する彼女たちの多様なキャリアストーリーを「AWESOME Choices」として発信しています。
参照:横山広美著『なぜ理系に女性が少ないのか』、一般社団法人AWESOME代表理事西岡によるヒアリング
国際レベルでもリケジョへの取り組みが重要と認識
Youtube のコンテンツは現在の Cookie 設定では表示されません。"コンテンツを見る"を選択し、Youtube の Cookie 設定に同意すると閲覧できます。詳細は Youtube のプライバシーポリシーをご確認ください。Cookie の利用は、Cookie 設定からいつでも変更できます.
2/11「科学における女性と女児の国際デー」(International Day of Women and Girls in Science) は、国連が女性と女児が科学技術の分野において果たす重要な役割を認識し評価する目的で制定されました。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は2023年の「科学における女性と女児の国際デー」の冒頭でも、「Women and girls bring diversity to research, expand the pool of science professionals, and provide fresh perspectives to science and technology, benefiting everyone.(=女性と女児は、研究に多様性をもたらし、科学分野の専門職の層を厚くし、科学やテクノロジーに新鮮な視点を提供し、あらゆる人に恩恵を与えます)」 と述べています。
国際的にみても理工系分野の女子・女性の割合が最下位レベルである日本での取り組みの一助に、一般社団法人AWESOMEが寄与できるように努めていきたいと思っております。